色彩屋根裏blog

みなるでぃ改のblog

仕事の話

当方が十数年間血反吐を吐きながらも頑張ってきた、以前いた職場の話。

 

可能な限り盛らずに、自分が体験してきた理不尽な事実をほぼありのままに嘘偽りなく書き記したつもり。これは言わば、ドキュメンタリーなエントリだ。

 

今回のエントリは例のごとく長くて、お硬い仕事のネタでかつ盛大に愚痴っており、私怨もたっぷりとこもっているネガティブモード全開なので、苦手な方は回れ右すべし。

  

  

まずはじめに宣言しておくが、別に私は自分がとても仕事のできる優秀な人間であるなどとは思っていない。優秀であったら嬉しいんだが、残念ながらそうではないんだ。時折、ではないな。年がら年中自分のアホさ加減が嫌になっている。才能レベルも各種能力パラメータもそこそこな、どこにでもいる平々凡々の、いわゆるレアキャラの養分にされるような、コモンキャラのようだと思っている。

 

けれど、そのような凡人が数々の試練を受け、小さな成功と時折大きな失敗を重ねてはめげずにしぶとく経験を積み、結果、多少のポカはあれども業務を滞らせることなくそれなりに遂行できるレベルには達することができたという自負はあった。つまるところ、自分はそんなにうぬぼれてはいないですよということ。誤解無きよう。

 

――それまで、私が所属していた部署(管理部門という名の何でも屋さん)は例のごとく、常日頃から人員が足りていなかった。今時人員不足なんてのは掃いて捨てる程ある話だな。人員補充は常に現場たる製造部門が優先されていた。ある程度はしゃあないよなと割り切ってはいた。けれど、ものには限度ってのがあるっしょ! とも思った。

 

管理する部署だって現場の一つなんだけども、社長曰く『お前の部署は金を産まない』とのことでさ。まぁその、社長が言わんとしていた事はわかるが、仮にそれを私に面と向かって言うことにより何か良いことがあるんですかね? そんなんで私のモチベがギュンと上がるとでも思ってるんかね? じゃあ、クレーム処理だの内部改善だの、そういったアフターケアや火消しは適当にやってていいって言ってんのか? ホント、馬鹿じゃねーのなどとネチネチと毒づきたくなるが、それは今回はさておくとする。

 

まあそんな、ぐだぐだした状況であってもどうにか人員を一名割り当てられた。未経験かつ中途採用縁故採用の一人(と、後述するが実際にはもう一人)を日々なだめすかしては必死にノウハウや知識を教え込み、少しずつどうにかものにしていった。二年、三年くらいのスパンで地道に育てて行って、クロスチェックとか私が不在時の代理業務とかできるようになってもらおうとか、そんな事を考えていた矢先のこと。

 

その教育途中の男を突然、何の予告も相談も無しに他部署に奪われたのだった。そりゃねーだろ。そしてその後人員の補充はなかった。その代わりと言っては何だが、唯一残っていた人員がこれまたキワモノで、経験年数こそベテランの域なものの、ロクに言うこと聞かんわ常識はまるでないわ遅刻はしまくるわ、無意識のうちに周りを腐らせては退職に追い込むのが得意スキルという、典型的な腐ったミカンのような札付きの馬鹿女だった。そんな、むしろいない方がマシというような人物を補充という名で押し付けられるという、嫌がらせのような仕打ちを受けたのだった。こいつはベテランなだけに、長年の付き合いがある社長によって実質的に庇護されており、何をしても辞めさせることがない特別な人物だったのだ。まさに、中小企業のだめなパターンあるあるだな。腐ったミカンに引導を渡せるのは経営者しかおらんのにさ。そういうところから破滅は始まるものだ。

 

さて、その女にはほぼ何を教えても無駄だという事が、残念な事にこれまでの経験上わかってしまっていたので、極めて難易度の優しい定形的な指令は出しつつも、戦力としては全くアテにはできず、結果として放置するしかなかった。

 

そんな絶望的な状況下でもどうにか耐えつつ一人戦隊状態で数カ月間奮闘するも、元からクレームが頻発している環境(※クレームが発生して人員及び設備改善の重要性を上層部に指摘したとしても、金がかかって対策できん! 適当に報告書出して黙らせろ! となるのが常のステキな状況)で、当然のごとく仕事が回らなくなって何から手をつければいいのかすらわからなくなる程になってしまった。書類をやりたいのに、提出期限が迫ってきてるのに、現場からはあらゆるトラブル対応! クレームはぞくぞくとやってくる! どないせいっちゅーねん。

 

そんな時のことだった。丁度夏に差し掛かった頃の事。人員が減らされる以前に、順次対応しようねーとか計画していた厳しい検査(※会社の身の丈に合っていない難易度の高い取引先)がまるで手付かずだったことに、今ここに至りようやく気付いたのだった。

 

一つ言い訳をしておくと、あまりにも雑務だの業務が多すぎて、スケジュール管理すら全く意識することができない有様だったのだ。

 

そんな状況になり、しゃしゃりでてきたのが工場長(=名前だけ。完全ではないが基本無能な男。過去にトラブルを多数引き起こした為に片っ端から職務を剥奪されていき、現在やっていることといえば主に雑用、倉庫整理などの一般業務。……一例として、その工場長が検査の対応をしていたら後日客から『あいつは何を言っているのかサッパリわからん! まともに話せる者を出せ!』というお叱りを受けて検査担当を外され、結局何故か主任格だった俺がその後の検査対応をさせられることになったのだった)だった。

 

もうね。うんざりするんですよ。『○○(私)君! 一体どうなってるんだね!?』『今まで何をしていたんだッ!?』『大丈夫なのか!? 間に合うのか!?』と、本来この業務にどっぷりと浸かっているべき立場の人間なのに、無能が故に何もしていない男が、ワンオペ業務を強要されて弱り目に祟り目の弱っている人間をひたすら追い込むという、とってもありがたいパワハラ指導をたんまり頂いた。冗談抜きでそいつを思いっきりぶん殴りたくなったものだ。

 

でも、そんなうんざりするような状況でもどうにか逃げず、その検査をアディッショナルタイムギリギリまで追い込まれつつもクリアしたところで限界が訪れた。私は遂に神経が一部焼き切れ、精神が鬱状態になってしまったのだった。

 

具体的にどんな状態だったかって? 例えば車を運転している時とか、主に一人の時にだな。無意識のうちに『会社行きたくない。こんな状況じゃ絶対上手くできない。失敗するのが間違いない。これからますます仕事が破綻する。押し寄せる仕事を処理できず罵声ばかり浴びせられるようになる。逃げたい。どうにかしたいがもはや自分の力だけではどうにもできない。でも会社に自分の仕事で相談できる相手なんて誰もいない。誰も助けてなんてくれはしない。補充人員なんて入れてくれるはずがない。育てる余裕も時間もない。悩みを聞いてももらえない。でも家族がいるからおいそれと辞められない。ああどうしようどうしようどうしようどうしようああ、職場が見えてきた。入りたくない帰りたい仕事したくない。このまま単独事故でも起こして人様に迷惑かけずに死んだら楽になれるかな』という、zipファイルのごとく圧縮されたネガティブ思考が念仏のごとく頭の中をぐるぐるぐーるぐると回り続けたものだった。そして、自分があまりにもネガティブになっていることにはっと我に帰ってかぶりを振って雑念を振り払おうとするも、気付けばまた同じ状態に戻るという繰り返し。

 

んなことを無意識のうちに勝手に思考してしまっているのだぜ。たまらんし、運転が危ないったらありゃしない。正常ではない。

 

とはいえ幸いな事に、この職場の以前に勤めていた職場にて全く同じような状況を経験をしていたが故に、私は自分の異常さを客観視しつつ職場環境の限界に気付けたのだった。で。これはやばいな。このままだと死ぬなと思って本格的にくたばるか狂人になる一歩手前で精神科行って案の定鬱と診断されて医者に診断書書いてもらって、改めて社長に見せつけたら、環境改善するどころか『続かないのならやめたら?』だの『別の部署に行くか?』だの『もっと残業しろ! このくらいの仕事量で音を上げるな!』だの『体壊したのは会社のせいだって言うのか? 甘えんな!』だの、吐き捨てるように言われたのさ。全く私の業務実態を把握しておらず、把握しようとも思っていない塩対応。例えるなら、それはあたかも瀕死の重病人を思いっきりグーでぶん殴るような、個人のプライドも何も全く考えてません的に、冷たく言われた。

 

その瞬間、私は思いっきり失望した。管理部門唯一の稼働人員たる私の惨状を鑑みて、人員配置の見直しや労働環境の改善を行ってくれると思いきや、それだ。いくら何でもそこまで冷たいとは思わなかった。大丈夫か? の一言でもあるかと思っていた。今考えてみれば、自分の考えが甘かったという結論に至るけれど。

 

結局私は辞めることになった。十数年に渡る経験は貴重だし立場だってできた。できれば辞めたくなかったが、この会社に居続けたら本格的に壊れてしまう。極端な話、自殺に至ってしまう可能性すらあり得た。結局慰留の言葉すらなく、一緒に仕事をしてきた人への別れの言葉すら言う機会を設けられなかった。本当にもう、どれだけ評価されていなかったのか。これほどの失望感というものは人生の中でそんなに味わったことはなかった。

 

元から糞でブラックな労働環境に耐えつつ、どうにかこうにかスキルを身に付けて這い上がってきた十数年間は、一体何だったのか。無駄だったのかとすら思えてしまった。本当にもう、社長が馬鹿だ。実に馬鹿だ。この人手不足のご時世。現場たたき上げの、経験年数十数年の特殊スキルを持つ人材がそうそうそこら辺にゴロゴロしているとでも思ってるのかってんだ。あまりにも人を見る目がない。現場の現状を把握する能力もない。カリスマもなく、人がどんどん辞めていく。何故人が辞めるのか、客観的に考えて改善を行っていくような体制でなければ、極端な人材不足になっていくこれから先そんな企業は生き残れないことだろう。

 

まぁそんなわけで、処方された薬を可能な限り飲まないようにしつつ体調を好転させてから転職したところ、紆余曲折あったものの、無理のない仕事量とほぼ定時帰りをできる職場に出会えた。奇跡は起きたのだ。ド民間の中小零細でもそういうところはあったんだよ。事故って腕が上がらなくなるような骨折る位の怪我しても『労災だとは絶対に言うな!』とか決して言われない、コンプライアンスをそこそこ考えてくれる所があったんだよ!

 

……確かに再就職という行為は大きなリスクはあるけれど、あまりにも追い込まれてる人は逃げるのが一番だ。無理し過ぎるのは良くない。自分ではどうにもできないことというのは、残念ながらあるのだよな。


その職場の事は今でも気にかけていて時折ウォッチをし続けているが、元同僚から聞いたところ、相も変わらず人が入っては辞めてを繰り返している模様。さらに、私がいた当時は新商品をひたすら連発していけという数打ちゃ当たるというイケイケモードだったのだがそれもすっかりできなくなり、新商品がろくすっぽ出ちゃいねぇ状態。んでもってこれはTwitterの方でも呟いたけれども、結局私の抜けた穴を埋められずにグダグダになり、非戦闘用の偵察機を最前線の戦闘部隊に配置するかのごとく血迷った人員配置を行っている模様。「オイオイオイオイ! よりによって彼をそこに配置するんかよ!」と、唖然としたものだ。まあ確かに、特殊スキルばかりのものを一切合切誰にも引き継がず残さず退職したもので、案の定といったところかな。

 

糞ったれ。あんなブラック企業潰れてしまえ! という正直な気持ちがある反面、一緒に仕事をしていた人の殆どはいい人で仲も良くて友達もいて、潰れるとその人達が路頭に迷うんだよなぁという思いもあり。尚かつ、何だかんだで十数年間血反吐吐きながらも守ってきた場所でもあったし、潰れたら自分がやってきた事が消えてしまうんだなという思いもある。誠にもって、複雑な感情を持ってしまっているところだった。やっていた仕事自体は面白いし興味深いし色々自分を成長させてもくれたし、本当にもう、どうしてなんだよと今でも吹っ切れないところ。

 

これまでやってきた事が無駄にならないこと。並びに、その会社は糞だが残った人達に自分が体験したような災いが降りかからない事を切に祈る。そんなところ。