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redEyes 23 感想

redEyes(23) (KCデラックス)

redEyes(23) (KCデラックス)

 

 

個人的に数少ない、継続して読み続けている作品。単行本発刊が年一回なので、読むたび歳をとっていく気がするが、そういうものなのだろう。


SAA(特殊強襲用装甲)というパワードスーツや、ボトムズのATみたいにガチャこんと回るターレットや、巻末の妙に細かい舞台設定資料(最近の巻ではあんまり無いのが残念)といった漢臭いものがお好みの方は読むべし。

 

でもまぁ、なんだかんだでだいぶ完結に向かって進んできたのが好感触。

 

てなわけで、ネタバレたんまりなので注意。

 

 

 

 

 

 

かの超大国ステイツが遺した軍事衛星群オービターアイズ。最大の切り札たるそれを失った時点で、新生シルバイン朝ルーミスの命運はすでに尽きている。ユリアン=クレイズの失策はとにもかくにも、クラウス=ガードナーというオービターアイズを制御し得る最重要人物の存在を侮ったことにある。その結果があの体たらくだ。

 

更にオービターアイズの使い方も問題だった。あんなに好戦的にレーザーを撃ちまくって世界中を威圧していれば、そりゃ猛烈な反発を買うだろうさ。


で、結果的に、犬猿の仲だったレギウムとドラグノフをあろうことか共闘させることに至ってしまった。こうなればもう、戦略的には詰んでいる。いかにルーミス騎士団が精鋭揃いだろうと、戦いは物量がものをいう。圧倒的な数の力で押しつぶされる。致命的な失態だ。

 

じゃあどうすりゃよかったか。初代ルーミス国王のように強大すぎる力を恐れ、密かにオービターアイズの情報解析能力のみを使い、地道に一つの国のような一大勢力を築き上げていくべきではなかったのだろうか? あまりにもオービターアイズに頼りすぎていたように感じる。それも、長年放置され、真っ当に動くかどうかすらわからんような代物を。

 

そして、陸戦の主力中の主力たる部隊長バルトロメ=ロレンソもいきなりやられてるじゃないか。ティーガーとかいうやたらデカくて固い、SAAみたいな妙ちくりんな何かで奮戦するも、クリヴィーレとヘイデンとその部下たちには及ばなかった。というよりも、相手の戦力分析もどこまでやっていたのか微妙。レギウムにはジェノサイド級が何人もおるんやぞ。侮りすぎも大概にせんかい。

 

唯一レギウムを圧倒していたのは空軍だけども、万能な存在ではないし、防衛施設たるシェルターは既にズタボロで、さらにはこれから別の場所にもう一つ大穴が開く予定となっていると。こうなりゃもはや、敵軍を深層まで引きつけて自爆でもするしかないのではないか? その隙にどこかに身を隠す……そんな算段が果たしてできるのだろうか。どーすんのさこれ。一体全体どうやって挽回する? 負けたときのことは考えていなさそうだが果たして。

 

クレイズ一派の悪あがきもとい、反撃に期待したくなる23巻なのだった。更に、水上戦が専門のはずなのに、近くに海がないからというしょうも無い理由で設備管理なんぞをやらされてる不遇そうな仮面の人とかも活躍を期待しちゃうぞ。